なぜ今、1960〜70年代の国産ヴィンテージウォッチを扱うのか

LEVEL7 LOWBEATでは、1960〜70年代に製造されたSEIKOを中心に、国産ヴィンテージウォッチを取り扱っています。
今から50年、60年も前に作られた腕時計です。
では、なぜ今、これほど古い腕時計を扱うのか。
単純に「昔の時計が好きだから」という理由だけではありません。
私たちはこれらの時計を実際に分解し、オーバーホールし、修理し、もう一度日常で使える状態へ戻しています。
その作業を繰り返していると、外から眺めているだけでは分からない、当時の時計づくりが少しずつ見えてきます。
50年以上前の時計を分解すると、当時の設計思想が見えてくる
1960〜70年代は、日本の腕時計産業が大きく発展した時代です。
現在LOWBEATで扱っているSEIKOのほとんどが、この時代に作られた時計です。
もちろん、50年以上前の製品ですから、現代の腕時計と単純に性能を比較することはできません。
しかし、実際にムーブメントを分解してみると、
「なぜ、この構造になっているのか」
「なぜ、この部品をここに配置したのか」
「どうすれば組み立てや調整、修理がしやすいのか」
といった、当時の設計者の考えが見えてくることがあります。
複雑にすることが目的ではなく、必要な機能を成立させるために構造を考える。
量産すること、整備すること、そして腕時計として日常的に使われること。
そのバランスを考えて作られている時計が数多くあります。
50年以上動き続けているという「事実」
ヴィンテージウォッチには、カタログスペックとは違う評価軸があります。
それは、
実際に50年以上の時間を生き残ってきたこと。
もちろん、すべての時計が何の問題もなく動き続けてきたわけではありません。
・摩耗した部品もあります。
・油切れのまま使われた時計もあります。
・錆や破損、過去の修理による問題を抱えている個体もあります。
それでも、適切に整備することで再び動き始め、現在でも腕時計として使える個体が数多く残っています。
これは、私たちが現代の腕時計を考えるうえでも非常に興味深い事実です。
発売されたときのスペックだけでは、「長く使える時計」かどうかは分かりません。
50年という時間を実際に経過した時計には、その設計や構造がどのように歳を重ねるのかという答えの一部が残されています。
ヴィンテージウォッチは、古ければ良いわけではない
一方で、古い時計だから価値がある、と私たちは考えているわけではありません。
ヴィンテージウォッチには、現代の時計にはない魅力があります。
しかし同時に、古い時計だからこその問題もあります。
・部品の摩耗。
・防水性。
・過去の修理歴。
・交換部品の入手性。
そして、今後も修理を続けられるかどうか。
特に国産ヴィンテージウォッチを日常で使おうとするなら、「今、正確に動作している」というだけでは十分ではありません。
だからLOWBEATでは、仕入れた時計をそのまま販売するのではなく、自社工房で状態を確認し、必要に応じてオーバーホールや修理を行っています。
私たちが目指しているのは、古い時計をただ保存することではありません。
もう一度、日常で使える腕時計として戻すことです。
失われた部品は、自分たちで考える

50年以上前の腕時計を扱っていると、当然ながらメーカーから新品部品が供給されいません。
当時のデザインを特徴づける重要なパーツとしては、風防(クリスタル)があげられます。
ですが、当時のモデルに適応するクリスタルは、多く残っていません。
そこでLEVEL7では、一部のモデルについて多角形型、ダブルドーム型、フラット型のミネラルクリスタルなどの交換部品を独自に製作しています。
何でも新品に交換してしまう、という意味ではありません。
残せるものは残す。
直せるものは直す。
そして、どうしても失われているものについては、腕時計をこれからも使うために必要な方法を考える。
これもLOWBEATの仕事のひとつだと考えています。
LOWBEATと自社腕時計(CUSTOM TIME PIECES)は、実はつながっている

LEVEL7には、国産ヴィンテージウォッチを扱うLOWBEATだけでなく、現代の腕時計を作るCUSTOM TIME PIECES(CTP)があります。
一見すると、「古い時計を直す仕事」と「新しい時計を作る仕事」。
まったく別の仕事に見えるかもしれません。
しかし、私たちの中ではかなり深くつながっています。
50年以上前の腕時計を分解していると、長い時間の中で何が摩耗し、どこが壊れ、どのような構造なら修理しやすいのかを実物から知ることができます。
逆に、自分たちで現代の腕時計を組み立て、調整し、修理するからこそ、古い時計の設計を見たときに気づくこともあります。
古い時計から学び、その知見を現代の時計づくりへ戻す。
そして、現代の時計を作ることで得た知識を、古い時計の再生にも活かす。
これは、構造や、修理する技術だけではありません。
腕時計のデザインも、古き腕時計から、多くの学びがあります。
LEVEL7にとってLOWBEATとCTPは、別々に存在しているものではありません。
「直すこと」と「作ること」を同じ工房で続けることで、互いの仕事から学んでいます。
1960〜70年代の時計には、まだ学べることがある
腕時計は、この50年間で大きく進化しました。
工作精度も、素材も、防水性能も、製造技術も進歩しています。
だから、昔の時計をそのまま現代に戻せば良いとは考えていません。
むしろ大切なのは、
なぜ、その形になったのか。
なぜ、その構造が選ばれたのか。
その理由を考えることだと思っています。
合理的な構造。
整備することを考えた作り。
必要以上に複雑にしない考え方。
そして、道具として使うためのデザイン。
50年以上前の国産腕時計を実際に触っていると、現代の時計づくりにも通じる考え方が数多く残されていることに気づきます。
古い時計を、もう一度日常へ
私たちは、ヴィンテージウォッチを博物館の展示品のように扱いたいわけではありません。
もちろん、歴史的価値の高い個体や、保存を優先すべき時計もあります。
しかしLOWBEATが主に扱っているのは、かつて誰かが毎日のように腕につけていた国産腕時計です。
仕事へ行くとき。
休日に出かけるとき。
誰かと会うとき。
ごく普通の日常の中で使われていた時計です。
だからこそ、可能な限りきちんと整備し、もう一度誰かの腕で時間を刻んでほしい。
そして私たち自身も、そこから学び続けたいと思っています。
1960〜70年代の国産ヴィンテージウォッチを扱うこと。
それはLEVEL7にとって、過去を懐かしむためだけの仕事ではありません。
過去の時計づくりから学び、それをこれからの時計づくりにつなげていく仕事です。
古い時計を直すことと、新しい時計を作ること。
その両方を自分たちの工房で行う。
それが、LEVEL7が今、国産ヴィンテージウォッチを扱う理由です。
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